三波春夫は、新潟県三島郡越路町(現・長岡市)出身の大衆歌謡歌手です。紫綬褒章受章、勲四等旭日小綬章受章、新潟県民栄誉賞などを受賞しています。甘いマスクにいつでも朗らかな笑顔を振りまき、ファンへの絶え間ないサービスを心がけていました。
1939年、16歳で浪曲師「南條文若」としてデビューします。1944年には、陸軍に入隊し満州に渡り、そこで終戦を迎えますが、ハバロフスクで4年間の抑留生活を過ごしました。1949年9月に帰国し、浪曲師として復帰します。1957年6月になって、芸名を「三波春夫」と改めて歌謡界へデビューしました。
このように元々は浪曲師であり、歌謡の中に浪曲を織り込んだ「歌謡浪曲」を得意としました。特に、「元禄名槍譜 俵星玄蕃」は長編の歌謡浪曲であり、三波春夫以外にこの曲を演じられる歌手はおりませんでした。
ステージに着物姿で登場して歌謡浪曲を歌いましたが、着物姿は当時の男性歌手としては初めてのことでした。また、三波春夫の有名なセリフに「お客様は神様です」というのがあり、当時だけでなく、現在でも名セリフとして語られています。
大阪万博のテーマ曲「世界の国からこんにちは」を高らかな声で歌いました。1986年には第37回NHK紅白歌合戦に初出場を果たし、以降通算で31回の出場をしています。1999年の大晦日、第50回NHK紅白歌合戦への出場が生涯最後の出演となりましたが、彼の歌芸の集大成とも言われる「元禄名槍譜 俵星玄蕃」を見事に歌い上げました。2001年4月14日、前立腺癌のため死去、享年77歳でした。
|