民謡は、主に口承によって受け継がれた歌の総称です。 民謡は世界各地に自然発生的に芽生えたものが大部分で、楽典に則りつくられたものではなく、拍子等、多くが不規則なものも多いです。 不特定多数の民衆により伝承されるうちに、特定地域や集団などの歌謡として定着したものばかりです。
長い歴史を通して生き残ってきた各地の日本の民謡は、どれもわたしたち日本人の心を強く打つものがあります。 民謡の歌われるスタイルには、ゆっくりとしたテンポの曲や、陽気な民謡があります。そして、ときに素朴な民謡、淋しい曲調の民謡もあります。 民謡はそれが生まれ育った地域の自然現象、天候などにより、特有な曲調を持っています。 北海道や東北地方の曲には一種の厳しさがあり、沖縄や九州の民謡には、独特な調子があります。
ところで、〔民謡〕という呼び名は、明治時代以降に海外から入ってきた言葉、英語の「folk song」などの翻訳語として生まれました。それ以前の日本では「里謡、」や「俚謡(りよう)」などと呼ばれていたようです。 民謡の中には、現在では童謡や唱歌と呼ばれるような「童歌(わらべうた)」や「子守唄」などの子供向けのものもあります。 1987年(昭和62年)の調査では、現存する民謡の数は58,000曲ほどもあるとのことです。 明治時代~大正時代に北原白秋らにが創作した民謡は、古来からの民謡に対して、「新民謡」とか「創作民謡」と呼ぶこともあります。 その後も、中山晋平、藤井清水、野口雨情、西條八十らが盛んに新民謡を創作しましたが、それらは地域の宣伝的なものが多く、「地方小唄」と呼ぶこともあります。 民謡の種類には、次のように多くのものがあります。 ・追分 ・馬子唄 ・舟歌 ・民謡化した今様 ・甚句(都々逸) ・盆踊りの歌 ・木遣唄/地突唄 ・騒ぎ唄 ・音頭